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よどがわ内科クリニック 副院長 兼 肛門科顧問 上月雅友 先生

上月雅友先生
プロフィール
よどがわ内科クリニック 副院長 兼 肛門科顧問
  • よどがわ内科クリニック勤務
  • 日本大腸肛門病学会専門医
  • 日本産科婦人科学会専門医
  • 母体保護法指定医
  • 医学博士
よどがわ内科クリニック
〒532-0023
大阪府大阪市淀川区十三東2丁目9-10 十三駅前医療ビル2階

便秘解消には玄米もおすすめ。妊婦さんが食べても大丈夫。

まずは便秘にならないよう、食生活に気を付けていただくことです。食事はいろんな食材をバランス良くとること。厚生労働省が掲げている『妊産婦のための食事バランスガイド』なども参考にすると良いですね。個人的には玄米ご飯も効果的だと思います。便秘で困っていた女性が、結婚を機に玄米を食べるようになったら便秘が改善したという例もあります。玄米は食物繊維が多く、太りにくいとも言われていますので、おすすめしています。妊婦さんが食べても大丈夫ですよ。
食事以外では、規則正しい生活を心掛ける、ストレスを溜めない、排便時に強くいきまない、おしりを冷やさないなどが注意点です。特におしりが冷えてしまうと、血栓性外痔核ができやすくなるので良くありません。動けるようなら、適度な運動も良いでしょう。産婦人科で教わる妊婦の体操や、マタニティスイミング、ヨガなどもありますし、軽くウォーキングする程度でも良いと思います。痔の方は血流改善が必要なので、入浴も効果的です。

気になる症状は遠慮せず、まずは産婦人科の医師に相談を。

妊娠中・授乳中は、薬の制限もありますし、妊娠検査によって安静が必要なこともあります。おしりに気になる症状が出た場合も、まずはかかっている産婦人科の医師に相談していただくことが良いと思います。産婦人科の医師も忙しくされているので、妊娠・出産以外のことを相談するのはどうかと遠慮される方もおられるようですが、おしりの違和感でも、遠慮せずに相談されると良いでしょう。
特に妊娠前にはなかった症状が出てきた場合は、すぐに伝えていただきたいですね。また既に痔を患っている場合でも、いつもと違う症状が出てきたなら相談されることをお勧めします。軽度であれば、産婦人科で処方される塗り薬などで治ることもありますが、症状次第で肛門科の受診を勧められると思います。もし脱肛などがある場合、妊娠にかかわらず治しておいた方が良いと思います。

気になる症状は遠慮せず、まずは産婦人科の医師に相談を。

妊娠中も外用薬なら問題なし。使用する場合はステロイドフリーのものを。

妊娠中に禁忌とされている薬はたくさんありますが、痔の薬であれば、外用薬なら吸収される量も多くないので、使用しても問題ないと思います。ただし、痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)など症状によって使い分ける必要はありますので、できれば受診していただくことが望ましいです。市販薬を使用する場合、ステロイドが入っていないタイプを選ぶようにしてください。ステロイドは、外用薬としておしりに入れるだけでは胎児発育不全を起こす可能性は低いですが、内服などで大量に摂取すると、赤ちゃんの発育に影響する場合もあります。これは動物実験で結果が出ていますので、注意してください。また授乳中に関しても、ステロイドはもちろん、アスピリンやカフェインが乳児の不眠につながるというデータもあります。妊娠中と同様、内服薬には気を付けてください。
妊娠中に禁忌とされている薬の成分に関しては、日本産科婦人科学会が発表している情報などを参考にされると良いでしょう。

公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編

治療が必要な慢性便秘。お腹の痛みや張りが続く場合は一度受診を。

ここ数年で、便秘の分類についてもかなり変わってきています。大きくは、機能性便秘と器質性便秘に分かれ、機能性便秘は、急性便秘と慢性便秘に分けられますが、一般的に治療が必要とされるケースは慢性便秘です。急性便秘は一過性の体調の変化などで起こる便秘ですから、原因が取り除かれれば治ります。例えば旅行に行った時に、一時的に出なくなるというのは典型的な急性便秘です。これはあまり心配する必要はありません。薬による治療が必要な慢性便秘についても、基本的には規則正しい食生活、睡眠など生活習慣の改善が重要になります。
器質性便秘に関しては、大腸が狭くなることで起こる狭窄性と、大腸の形の異常が原因で起こる非狭窄性があります。狭窄性のものは大腸がんやクローン病など、非狭窄性のものは結腸が異常に拡張肥大する巨大結腸や、大腸が腟の方にはみ出てしまう、女性特有の直腸瘤などがあります。治療自体が困難となることも多く、手術が必要な場合もあります。便秘の種類によって治療方法は大きく変わってきますので、お腹に痛みや張りを感じて悩んでおられる方は、一度受診された方が良いでしょう。

治療が必要な慢性便秘。お腹の痛みや張りが続く場合は一度受診を。

排便回数が減っても痛みや張りがなければ大丈夫。いきんでも便が出ない場合は医師に相談を。

便秘で来院される方は、当院では高齢の方が多いのですが、肛門という性質上、過剰に気にされる方も結構おられます。「出そうと思っても出ない」とおっしゃるのですが、お話を伺うと普通に出ています。3日に1回、あるいは1週間に1回という排便ペースでも、体が上手く回っていれば大丈夫です。
逆に2~3日に1回便が出たとしても、おなかが張る、便が出しにくいといった症状があれば、便秘の可能性もあるので注意してください。例えば、便秘の方の中には、いきみ方が悪くて便が出ないという方がいらっしゃいます。こういった方は、排便造影検査で直腸の動きを確認する必要があります。直腸は、普段は便が漏れないように恥骨直腸筋という筋肉によって倒されている状態ですが、排便時にはこの恥骨直腸筋が緩み、直腸がまっすぐに立って便が出る仕組みになっています。いきんでも便が出ない場合は、この恥骨直腸筋が固まったまま緩まず、直腸が倒れたままになっている「まがり腸」のケースがあります。まがり腸の方は、下剤をいくら飲んでも根本的には改善に至りません。風船をおしりに入れ、専門のスタッフがいきみ方を指導する、フィードバック療法などを施す必要がありますので、いきんでも便が出ないと悩んでいる方は、一度医師に相談してみてください。

刺激性下剤の常用は危険。使用する場合はレスキューとして。

市販の便秘薬を使用する場合、刺激性の成分が入っているものが多いのですが、長期に継続して服用すると耐性が生じ、腸の動きを鈍くします。薬の量を増やさないと効かなくなり、悪循環に陥るケースが少なくありません。また大腸メラノーシス(大腸黒皮症)という大腸が黒くなる症状も出てきて次第に腸が動かなくなります。さらに刺激性下剤は、腸の緊張から起こる便秘などに用いると、腸内圧が上がり腹痛、嘔気を生じることもあるので注意が必要です。したがって、基本的に便秘は、食事や排便を含む生活習慣を改善するようにしてください。ただし、排便回数が減る「大腸通過遅延型」の場合は、生活習慣の改善だけでは難しいため、当院でも当初から薬を使うこともあります。

刺激性下剤の常用は危険。使用する場合はレスキューとして。

おしりを押さえるようにして拭くようになれば痔のサイン。

便秘が原因で痔を発症するリスクは個人差もありますが、例えば排便回数や排便量の増減があった場合、排便が困難になってきた場合、3週間以上にわたって便秘症状が持続する場合などは、一度、医師の診察を受けた方が良いでしょう。また、肛門に違和感があった場合や、おしりを押さえるようにして拭くようになった場合は、早めの受診をお勧めします。これは内痔核(肛門内側のいぼ痔)が外に飛び出しはじめている状態で、さらに進むと明らかに脱肛し、手で押さないと戻らないようになります。そうなると、手術の確率が高くなってしまいます。初期の症状で来院された場合、食事や排便を含む生活習慣の指導で改善する方もいらっしゃいます。手術に至る前に治すためにも、早めに受診してください。また、便秘の有無に関係なく、もし便に血液が付着していた場合は、がんなどの疑いもありますので、直ちに大腸肛門科を受診してください。それ以外でも、裂肛(きれ痔)を患っている場合の便秘は、排便時に痛みを伴う場合があります。痛みがひどい方は、薬などで便を軟らかくし、痛みを和らげる対処を行う場合もありますので、医師に相談してください。

妊娠中の便秘薬の使用は、妊産婦や胎児に影響がないことを最優先に。

妊娠中は、腸の働きを抑える黄体ホルモンが多く分泌されることに加え、お腹が大きくなって腸への圧迫が強くなるため、便秘になりやすい傾向があります。当院でも、摘便などが必要になるほどの便秘の患者さんは、おなかが大きくなってから来られる場合が多い印象です。妊娠中は食事制限などによって、排便管理が難しくなることも便秘の原因になるでしょう。
妊産婦における便秘の治療も、一般の方と同じく生活習慣の改善が基本です。お薬を使う場合は、妊産婦や胎児への影響がないことを最優先とします。慢性便秘症診療ガイドラインも発行されていますが、専門的になりますので肛門科や胃腸科の医師に相談いただければ良いと思います。刺激性下剤については、センノサイドは子宮収縮を起こすとされており、妊婦の方には禁忌となることがあります。ダイオウなども含め、漢方系の薬は体に良さそうな印象をもたれがちですが、妊産婦の方が使用する際は注意された方が良いでしょう。

妊娠中の便秘薬の使用は、妊産婦や胎児に影響がないことを最優先に
この記事の監修医師
上月 雅友先生

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